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HO2:青川(アオニキ)「まぁ、(~しましょう ~しますか!等)」が口癖。

 VRとは何だと思う?街行く人々にアンケートを取ると仮想空間と答える人が多いのではないだろうか。だが少し考えてみて欲しい。現実で行き場を無くし、仮想空間でしか生きられない人にとってVRは生活空間と呼べるはずだ。そして生活空間が生まれればそこに需要が生まれる。皆はそこに気が付いていないんだ!

 あなたは、野心家であり先導者である。VRで一旗あげたいと考えていて、そのためにリュミエールを立ち上げた。思ったより知識が豊富な人間や行動力のある人が集まり、リュミエールは有名なグループになった。これはあなたの尽力によるところが大きい。そして、さらなる挑戦をしていこうと、白田を主軸とするメンバーでVRの装備開発を行った。するとヘッドギアとコントローラーのみでVR世界に入る事ができ、(ネットワークも繋げる) しかもコストも抑えられるというとんでもない技術革新を起こした。あなたはこれをSVRと名付けた。

 SVRはすぐさま企業の目に留まり、販売されだした。あなたはリュミエールを代表する交渉役として日本中を駆け回った。この自分が関わった開発が、誰かにひとときでも心の安らぎを与えられると信じて。

……上手くいきすぎて調子に乗ったのもあるのだろうか。あなたは東京の高速道路で交通事故を起こした。近くの病院で意識を取り戻した時には、下半身の感覚がなかった。

 最初に思ったのは後悔というより焦りだった。この足がなければ、また日本を走り回りSVRを告知することができない。入院している間にも、周りはどんどんSVRの技術に近づいていくだろう。5階の病室から見る夕日が、あなたにはやけに早く沈むように感じた。1カ月後にある授賞式も他の人間に頼まないといけない。だが、あなたの心の火は消えてはいない。むしろ静かに燃えていた。まぁ、腕は動く。入院中にSVRのテストを進めよう。全ては、万人の拠り所となる新しい世界の創造のために!

過去のタイムライン

16:00頃

 私は最近ずっとVRワールドに入って白田と一緒にSVRの更新とあら捜しを行っている。白田も毎日よく付き合ってくれると正直思うが、いったい何者なんだろう。VR世界の住人のバックグラウンドは聞かないのがマナーとはいえ、白田はリュミエールの主軸だ。急に消えてもらっては困る。素性を知りたいな……。そう考えていると、白田からリュミエールロビーの演出を追加したいと言ってきた。どうやらワールドにある太陽と月のオブジェクトを一定スピードで動かし、現実世界の東京とロビーを同じ状態(東京が昼ならロビーも昼、東京が夜ならロビーも夜)にしたいとのことだった。実は設定は既に作っており、私の認可待ちだという。とても面白い!VRをしていると時間間隔が狂う。それを体に覚えさせる良い設定だ!すぐさま設定を反映させるように指示した。10分ほどで反映は終わった。一般メンバーもとても喜んでいるようだ。ひと段落したところで白田に、「残りはまた夜だな」と告げたのち、ログアウトした。目が疲れたな。仮眠でもとろう。

17:30頃

 仮眠から目覚めた。少し寝ぼけていたのもあり、気分を切り替えようと車椅子で病院の外に行った。子供が手放してしまったのだろう。病院の前にある木に引っ掛かった風船を取ろうと、ナースと、帽子を被った医者が頑張っていたが、結局風船は空に飛んで行ってしまった。赤い風船が夕焼けの光を受けてさらに色鮮やかになる。……こんな綺麗な風景をVRで表現できるようになりたいものだな。部屋に戻ろうとして振り返ると、3階の窓に少女が見えた。少女は夕焼けを見つめている。その子の目からは悲しみと期待が見て取れた。

そうだ。俺はあの子のような目をする人のために、SVRを作ったんじゃないか。まだ私にできることはある。とにかく手を動かさないと。急いで病室に戻った。

18:00~22:00

 SVRを被りリュミエールロビーに行くと、モモが夕日を沈むのを見る会をゲリラ開催していた。それを横目に白田と次なる展開について話し合っていた。まぁ、頑張るとしますか!

ヒント?:早いうちに授賞式に出る人間を決めなければならない。 人前に立てる人間を選ぶべきだ。

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