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HO3:桃里(モモ)「~っす!」が口癖。

人は生まれながらにして不平等だ。顔が良い奴が有利だし、私みたいなブスは何をしてもうまくいかない。どれだけ愛想よくしたって、どれだけ努力したって、どれだけ我慢したって、道化にしかならない。

 あなたがそう理解したのは小学生の頃だ。あなたと同じクラスの美少女が花瓶を倒した。悪気はなかったのだろう。しかし運の悪いことに花瓶が落ちた先にはとても怖い担任の先生が大事にしている本があった。間違いなく誰の目にも彼女がやったと映っただろう。気の毒なことだと思った。「おい、○○あんまり暴れんなよ~」クラスの中の一人が言う。

 ……なぜかあなたのせいにされていた。クラスの皆はそれに同調し、花瓶を倒した本人は何も言わなかった。あなたはとても怖くなり、すぐに不登校となった。それから何度か社会復帰しようと努力したり、その中で恋に落ちたりもした。しかし、それらすべて上手くいかなかったあなたは自分に絶望し、自宅にこもるようになった。

 自分の部屋でスマホをいじっていると、VRについての記事が書かれており、少しだけ興味を持ったあなたはVRを始めた。そこは夢のような世界だった。あなたのことを誰も偏見で悪く言ったりしないし、可愛らしい声だと生まれて初めてちやほやされた。ここは平等で素敵な世界だ。そう思った私はVRにハマっていった。

 そしてこの世界を自分と似たような人に知ってもらいたいとVR開発活動団体、リュミエールの一員となった。その中でイベント企画と運営を任されるようになり、『誰一人嫌な思いをすることなく、現実を忘れるくらい楽しんでもらいたい』という思いから必死になって企画したイベントはすべて好評で、うまくいっていると思う。

 最近、一般メンバーから「モモの企画したイベントはとても面白いし、何があっても行く」と言われた。現実ではこんなこと絶対に言われないだろう。自分の努力が実ったことを実感し、泣いていたところをアカに見られた。この達成感と嬉しさを伝えたかったあなたは、アカに今までのことを踏まえてすべて話した。アカはずっと話に付き合ってくれたうえで、「キミは本当はできるやつなんだ。もっと自信を持つといいよ」と言ってくれた。

 それ以来、あなたはアカにだけは弱みや本心を話すようになった。実際に会った訳ではないからアカがどんな人かは分からない。でも絶対にいい人だ。そう思っていた矢先に『ニュージェネレーションズ』での受賞が決まった。運営メンバーの誰かが授賞式に出なければいけなかったのだが、あなたにはまだ外に出る勇気はなかったため、東京に居ると過去に聞いており、自分の悩みを話したこともあるアカに授賞式に出て欲しいと頼もうと思っている。

過去のタイムライン

10:00頃

 久しぶりに空を見上げた。東京の空は相変わらず綺麗だけれど、この光の下堂々と外を歩けるのは選ばれた人間だけなのかもしれないな。と、自虐しながらヘッドギアを被り、電源を入れた。青川と白田がVR世界に入っていたけど、開発を頑張っているようだったから同じワールドには入らず、一般メンバーと遊んでいた。

16:00頃

 青川と白田がロビーにやってきて、「ロビーのデータを更新するからログアウトして、まぁ……10分後くらいに来てくれ」と言った。白田に何をするのか聞いたら、「僕、ロビーの空を、東京の空と同じにする設定を作った。簡単に言うと、ロビーの太陽と月が動くようになるよ」と言っていた。白田は凄いなぁ!発明の鬼!

……じゃぁ、私はイベント企画頑張るか!VRの世界で沈む夕日を見るっていうのも面白そうじゃない?

16:10頃~22:00

 ログインすると同時にロビーでイベントの告知を行った。「皆で沈む夕日を見よう!」急な告知にもかかわらず一般メンバーも時間が経つにつれてどんどんと集まっていく。目が疲れたから何度かヘッドギアを外して休憩を取ったけれど、ギリギリ陽が沈む前に来たキー君と並んで日没時に一緒に写真を撮った。その後は一般メンバーと話をしていて、19:00頃にミドさんがログインしてきたから今日あったことを話していたよ。

ヒント?:あなたは引きこもりだということがバレたくない。だが、自分を変えるチャンスを求めている。

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